◆(横井利明君) それでは、通告に従いまして、契約の締結(第33号議案)、今回のPFI事業の基本的な考え方、すなわちPFI事業として、鳴海工場の設計、建設、運営及び維持管理に係る事業契約についてお尋ねいたします。
きょうは早朝から小学生の皆さんもお越しになっていて、私も15年前に小学校の教壇に立って子供たちを教えておりましたから、15年前の授業を思い出して、頑張って取り組んでいきたいと思います。
私が申し上げるまでもなく、PFI、いわゆるプライベート・ファイナンシャル・イニシアチブとは、公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金や経営能力、専門技術を活用して行う新しい公共事業の手法です。これまでの第三セクターのように公共と民間が一つの会社を設立して事業を進めていくというのではなく、公共と民間がそれぞれの役割分担を明確にして民間に任された部分はすべて民間で行うということになります。PFIでは、公共側は事業の基本計画や民間の事業条件を設定し、事業を監視するということを役割として担い、一方、事業の計画、施設の設計、資金調達、建設、維持管理、運営に至るまで、できるだけ多くの部分を民間が担う方向で事業が進められます。すなわち、施設等の発注において、公共側は基本的性能や水準を単に示した発注を行い、民間側の創意工夫による企画、提案により細部が決まるということもPFI事業では行われます。また、PFIという手法は、最初にかかる設計・建設費用の一部を民間企業に一たん肩がわりしていただき、運営期間中に市が分割して支払うことにより、建設段階での財政負担の平準化を図ることができるという効果もあります。
さて、今回市長が提案されました鳴海工場事業へのPFIの導入は、名古屋市で初めての試みであること、また、名古屋市で初めてのガス化溶融炉の導入ということもあり、当初から私も大変注目をいたしておりました。関係当局の方々も、他都市の状況を調査したり、自治法と照らし合わせたり、関係者との調整に走り回るなど、相当な御苦労をされたと伺っており、この間の関係当局の御苦労には敬意を表したいと思います。
結果は、平成16年10月の審議委員会で総合評価により最優秀提案者が新日本製鉄グループに選定されました。落札金額364億円が高いのか安いのか、余りにも金額が膨大過ぎてぴんとこないというのが正直なところですが、名古屋市の予定価格が430億円であったことを考えると、予想以上に大きな削減ができたものと評価をいたしたいと思います。
ところで、平成11年、名古屋市がPFIの導入を表明した背景には、本市の厳しい財政状況のもと、財政再建策の一つの手法として有効との考えがあったと思います。それ以来、PFIイコール事業費の削減策との一面的な観念が生じ、それが今日まで当局の中に広く浸透してまいりました。しかし、本来のPFIの導入意義は、民間事業者の自由な発想に基づく創意工夫を本市の行政サービスの向上に寄与させることであり、今回のPFIの手法は今後に課題を残すものになったと思います。名古屋市でなかなかPFIが進まない背景には、当局の中に「PFIなんて面倒なことをしなくても公設民営の指定管理者制度でいいじゃないか」とPFIを単に運営・維持管理経費を削減できる手法と勘違いする風潮があることは大変残念なことであります。PFIは、指定管理者制度の大型版ではなく、民間の創意工夫を生かすためのツールなのであります。
その問題点が顕在化した一つの事例に、今回の入札者が2社しかなかった点が挙げられます。これだけの事業規模であれば、もっと多くのグループで適正な競争を行い、事業者を選定する必要があります。入札者が少なければ少ないほどPFIの効果が低く、また、談合などの可能性が高まると思います。今回は適正な競争が行われ、財政的指標から見れば確かに結果オーライではありましたが、これからも創意工夫を生かす余地が余りなく、単に運営・維持管理経費を削減するためだけのPFIを続けていくなら、PFIを行う意義はほとんどないと考えますし、良質な企業の参入もこれから減ってくるものと思います。
そこで、環境局長にお尋ねいたします。今回のPFIの選定までを振り返って、その意義や問題点についてどのように評価をされているのか、お答えください。
次に、PFIによる国内初の溶融炉の導入を行った倉敷市の事例を参考に、PFIにおける創意工夫の一例を紹介し、当局の見解を求めたいと思います。
倉敷市では、溶融炉で一般廃棄物と産業廃棄物を混合処理することにより、一つ、施設規模拡大に伴うスケールメリットの確保、一つ、ごみ質低下に対応した産業廃棄物の補助燃料材としての活用、一つ、一般廃棄物の処理コストダウン効果など、民間ならではの発想で運営・維持管理の低減に努めました。他にも近隣市町村からの一般廃棄物の搬入や汚泥焼却なども行うことによりスケールメリットを図ったと伺っております。これにより倉敷市内で行き場を失っている中小零細企業から排出されるごみの処理も安価に進むばかりでなく、PFI事業者には廃棄物処理費が、また、倉敷市にも多くの手数料が納入される見通しとなりました。私自身、これをこのまま鳴海工場に当てはめるつもりはありませんが、今からでも民間にさまざまな提案を行っていただき、本市にとっても、事業者にとっても、市民にとっても、よりメリットのあるものにしていただきたいと思います。
数点にわたり質問してまいりましたが、今回のPFI事業をより効果のあるものとするためにも、中身の濃いお答えをいただきたいと思います。これで、第1回目の質問を終わります。(拍手)
◎環境局長(大井治夫君) 今回の鳴海工場のPFIに関しまして数点のお尋ねをいただきました。
まず、PFIを導入した意義でございますが、第1に、設計・建設から運営・維持管理までを民間の事業者がみずからのノウハウや、あるいは創意工夫で一体的に実施することによりまして、事業期間中の事業費の総額である、いわゆるライフサイクルコストを大幅に縮減できることが挙げられると思います。結果的には、従来手法の直営方式で実施した場合との比較で、財政負担の削減効果が、特定事業の選定時には約18%と想定しておりましたが、落札時にはさらに大きく約32%となった次第でございます。
第2に、民間事業者の責任を明確にすることにより、長期にわたる事業の安定性の確保が挙げられると思います。従来は行政がほとんどの事業責任を負っておりましたが、PFIでは、行政と民間事業者がその役割分担を明確にして、従来行政が負っていたリスクの一部を民間事業者に移転しております。このため、本事業では、行政と民間事業者との役割分担を明確にした事業契約書を締結することにより、24年間にわたり民間事業者が責任を持って安定した事業運営が実施できるようにしております。
鳴海工場をPFIで実施したことにより明らかとなった問題点でございます。
第1に、契約締結時までに時間と労力を要した点が挙げられます。本事業は、本市としては初めてのPFI事業ということもあり、平成15年10月の実施方針の策定、公表からPFI法で定める手続を経て、今日までに約1年半かかっております。民間事業者も事業提案の作成等に時間と経費をかけたと聞いており、市と民間事業者ともにPFIの手続にはかなりの時間と労力の負担がございました。
第2に、議員御指摘のように、応募グループが少なかった点が挙げられるのではないかと考えております。本事業では、先ほど述べました長い時間を要するという問題点に関連して、PFIの手続の中で入札に参加を希望する四つの応募グループのうち、二つのグループが失格要件に該当いたしました。最終的に入札したグループが少なくなってしまいましたが、いずれの事業提案も詳細な検討がなされており、学識経験者による審議委員会からも高い評価をいただいておるものでございます。
今後は、より多くの民間事業者が参加しやすい条件整備をするため、今回の鳴海工場のPFI事業の経験を踏まえまして、手続の流れや事業者選定方法等についてさらなる検討が必要ではないかと考えておるところでございます。
次に、民間事業者からの提案の活用についてお尋ねをいただきました。
本事業では、20年間の運営・維持管理を予定しておりますので、事業期間中には技術革新等により民間事業者からの新たな提案がなされることが想定されます。その場合には、本市と民間事業者との協議を踏まえ、安全性を確認の上、可能なものについてはできるだけ取り上げてまいりたいと考えておりますので、御理解賜りたいと思います。
◆(横井利明君) 一昨年5月、国を相手にPFI初の行政訴訟を森ビルが起こしたことを御存じでしょうか。東京赤坂の議員宿舎建てかえ事業をめぐって、入札には森ビル、鹿島、大林組の3グループが参加しました。28階建ての鹿島は入札価格318億円、大林組は28階建て363億円に対し、森ビルは40階建て374億円でした。森ビルは民間部分を多くしたため、建築価格が大きくなりましたが、国に入るテナント収入などが多く見込めるため、最終的な国の財政負担は他の2案に比べて100億円以上も少ないものでした。しかし、落札したのは入札価格が一番安かった鹿島で、森ビルは事業に伴う収入などを総合的に評価して業者を選ぶPFI法の精神に反するなどと業者選定の違法性を訴えたのであります。
PFIは、指定管理者制度のように単に運営・維持管理経費を削減するための手法ではありません。硬直的でむだが多いと言われる公共事業に民間の柔軟なアイデアが取り込め、事業者にとって大きなビジネスチャンスになるばかりでなく、市民にとってもサービスの向上につながったり、ひいては自治体に財政的な貢献をするためのツールであるのであります。民間事業者は役所の言われたとおりに仕事をしていればいいという従来の発想なら、PFIはやめた方がいい。まさに本市の経営感覚や職員の改善に向けた意識の高さが問われているのであります。
そしてもう1点、今回環境局において鳴海工場のPFI事業契約の提案がなされ、今後の予算市会でも教育委員会においてPFIの議案が上程されております。なぜ市の契約事務は平成17年4月より財政局に一元化される予定であるのに、今回の契約事務の一形態であるPFIだけはそれぞれの事業局で契約事務を行うのか、全く不自然であります。今回の事業契約を財政局で中心になりお取りまとめができなかったのか、今後の対応も含めて市長さんに簡潔に御答弁をお願いします。
◎市長(松原武久君) 今、本市の経営感覚と職員の意識改革、そういったものに資するものでなければPFIの意味がないという御指摘いただいたわけでございます。
鳴海工場の整備・運営事業では、処理対象等の基本的な枠組みにつきましては、地元の御理解を得ながら環境影響評価等の手続を進めてまいりました。民間の自由度を高めるという点では制約が多々ございました。一方、鳴海工場でのコストの削減効果や、あるいは民間の創意工夫の創出等、私としてもPFIを導入する効果が高いものと考えております。さらに、鳴海工場で行いましたPFI事業で得た教訓を今後の行財政運営に生かしていくとともに、職員の意識改革につなげてまいりたいというふうに思っております。
また、鳴海工場整備・運営事業に関しましては、技術的な専門性やごみ処理事業の連続性、さらには地域の方々とのかかわりなどがございまして、環境局におきましてPFI事業として進めてまいったものでございます。今後は、鳴海工場で行いましたPFI事業での課題等整理した上で、御指摘いただきました契約のあり方も含めてより民間の創意工夫を生かすような形でしくみを検討してまいりたいと、こんなふうに思っております。
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